Unityからペンタブレットのマルチタッチ機能を利用する方法


この記事はOculus Rift Advent Calendar 2015の6日目です。

はじめに

ペンタVRというVRお絵描きツールを開発しているのですが、今回はお絵描き以外でも使えそうなペンタブレットのマルチタッチ機能の利用方法についてご紹介させていただきます。

ペンタブレットのマルチタッチ機能が使えると何が嬉しいかというと、既に絵描きさんの間に広く普及していおり、同じ理由で比較的安価に入手することができます。
また、iOS/Androidのタブレットで実装する場合と比較すると、iOS/Android側からPCに情報を送信するアプリを別途開発する必要がないため、実装は少なくて済みます。

※もちろんペンで直接お絵描きできますが、それについてはこちらを参照ください。

今回は、Unity 5.0.3p3 64ビット版とWACOM Intuos Proを使用します。

マルチタッチをC#から利用する方法については以下の記事を参考にしました。

マルチタッチの基本部分を実装してみる

2つめの記事からサンプルコードをダウンロードして、下記クラスをプロジェクトに追加します。

  • FeelMultiTouchAPIConst.cs
  • MemoryUtil.cs
  • MTAPI.cs

上記のクラスはそのまま使えますが、初期化などは下記コードを参考にして、TabletTouchクラスとして実装します。

  • MainWindow.xaml.cs

クラスフィールド

そのままコピペで大丈夫です。

UpdateDeviceListメソッド

UpdateDeviceListメソッドは、リストボックスにデバイス一覧を表示する機能ですが、今回はリストボックスを使用せずデバッグログのみ出力します。
また、後ほど最初に見つかったデバイスを利用するように実装したいと思います。

MainWindowメソッド

MainWindowメソッドはコンストラクタですが、Unityのライフサイクルに則りAwakeメソッドとして実装しましょう。

UnregisterEventメソッド

UnregisterEventメソッドは、マルチタッチ機能の終了処理です。
見た目に関する処理は、Unityの仕組みを利用するので削除しましょう。

MainWindow_Closingメソッド

MainWindow_Closingメソッドは、OnDisableメソッドに置き換えます。

RegisterEventメソッド

RegisterEventメソッドは、マルチタッチ機能の開始処理です。
今回は、モードはWMTProcessingModeNoneに、イベントタイプはコールバックを残して削除します。
また、見た目に関する処理は、Unityの仕組みを利用するので削除しましょう。

MainWindow_Loadedメソッド

MainWindow_Loadedメソッドは、OnEnableメソッドに置き換えます。

wmtFingerCallbackメソッド

wmtFingerCallbackメソッドは、タブレットに触れている間のみコールバックが呼び出されます。
ただし、コールバックメソッド内はメインスレッドではなく、Unityの機能が利用できないため、受け取った情報をフィールドに保持しておきます。
また、コールバックとUpdateメソッドでは呼ばれるタイミングが異なるため、受け取った情報に更新があるかどうかをフラグに持たせます。

マルチタッチの可視化とタップの検出

ここからは重要では無いのですが・・・

TouchButtonクラス

作成したボタンにはTouchButtonコンポーネントをアタッチしておきます。
OnTapメソッドを作成し、呼び出されたらデバッグログを出力するようにしておきます。

マルチタッチの可視化

フィールドに保持したマルチタッチ情報を可視化します。
プロットする指の数は毎フレーム異なるため、GameObjectを使用せず、DrawMeshメソッドで直接描画を行っています。
なお、マトリックスからトランスフォームを取り出すのにはこちらを参考にしました。

タップの検出

最初に検出した指でタップ処理を実装します。
可視化で使用したのと同様のマトリクスを元にRayを飛ばしてボタンを特定し、さらに指を離した際にボタンのOnTapメソッドを呼び出しています。

シーンの構成

以下の様にシーンに、TabletTouchオブジェクトと、その子としてTouchButtonオブジェクトを作成し、各コンポーネントをアタッチします。
TabletTouch
TouchButton

実行すると、マルチタッチの可視化と、タップの検出が出来ていることが確認できます。

やったー!

最後に

このようにUnityから簡単にマルチタッチ機能を実装することができました。

ただし、VRで使う場合は、以下の様な欠点がありますが、そこは使い所と工夫次第なのかなと思います。

  • タブレット自体の位置や傾きが取れない
  • タブレットに触れるまで指を検出できない

もし面白いVRコンテンツを思いついたらご相談ください。
技術的な協力など出来るかもしれません。

次は、pafuhana1213さんの2015年の私とOculusRift  (VRに関する資料・投稿記事・作品まとめ)です。

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